2013/01/07

ジョン・カーペンターという男 - The Ward by John Carpenter -


ジョン・カーペンターを初めてみたのは『ヴァンパイア』で、ヴァンパイアの動きで魅せつつ熱っつい男気と友情の物語でもあるという、いまでは死語に近くなった要素にしびれた者である。

そして今回10年ぶりの新作で今度は主演のアンバー・ハードの運動感がすばらしいとのことで観た。
アンバー・ハードはすばらしく、ジョニー・デップの新恋人ということでさすがジョニデ、と思わずにはいられない(なんのこっちゃ)

ジョン・カーペンターの方といえば相変わらず熱っつい漢である。ネタバレになるため詳しくは書けないが、その主題をホラーとして扱うことに意表を突かれるとともに、ホラーという形式こそが主題を表象するのに最もふさわしいのではと思わず納得してしまいそうになる。
作品の出来がそのまま主題をどのように解釈しているのか、に直結して見えてしまうようなことをやっているわけで、生半可な覚悟でできるものではないだろう。

その結果がこれである。アンバー・ハードだけでなく映画自体も運動感に溢れたものとなった。

風格 - Dark Shadows by Tim Burton -


カットがどっしりとして古典的巨匠たちの風格が加わり始めたように思う。
その他はいつもどおりのティム・バートン印=クオリティの保証。

2013/01/06

喪 - J.Edgar by Clint Eastwood -


『J・エドガー』を観てはじめに思ったのは齢81のクリント・イーストウッドによる、前世紀アメリカへの喪の作業ではないかということだった。
FBIを長年にわたり牛耳ったJ.エドガーに焦点をあてることでちょうど自分が生きたアメリカの歴史をなぞることができるし。
全編地味なトーンで着実に展開するあたり、近作のような若々しさは影をひそめ、遺作のにおいがしても不思議ではない。
(近作が若々しいとはいえ、そのまなざしは既にこの世のものではないのだけど。blognotes2: すべてのひとに『ヒアアフター(来世)』を贈ろう。参照)

しかし(というか喜ばしいことに)まだイーストウッドは健在で、あろうことが引退宣言したはずの俳優としても復活し『人生の特等席』に主演してしまっている。
このように発言が信用ならない偉大な人物というのは珍しいことではないのだけど、イーストウッド自身についても発言からはその人となりがとにかくよくわからない人で、そんなこととは無関係にイーストウッドに影響を受けたとする人々は次々とあらわれ、映画界のみならずついには『ジョジョ』の荒木飛呂彦先生までが条太郎のモデルだとおっしゃる!(JOJOmenon (集英社ムック)より)

閑話休題。このJ.エドガーは愛の物語でもあるのだけど、「ホモの愛」を描いたわけではなく、むしろ男色であることにより「男女の愛」のジェンダーを離れた「愛」そのものについての深い表現になったように思う。
男女の愛については涙ちょちょぎれずにはいられない『マディソン郡の橋』があるのだし。

映画の豊穣を味わう - Virginia by Francis Ford Coppola -


『ヴァージニア』をみていると、映画を撮りたくなる。こんな風に撮れたらどんなに楽しいだろうと、観客であるわたしはここに至るまでの監督の道のりなどに思いも馳せず身勝手に感嘆する。

思えば『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』にしびれ、村上龍によるその過酷な現場撮影レポートなども読んだのだった。その後『ドラキュラ』は悪くないのだとの評を読んで観たものの、もはやどんな感想を持ったのかさえ覚えていない。
そして事業家として自身のワイナリーの成功を間にはさみつつ近年の『胡蝶の夢』、『テトロ』(かなりしびれる)ときて本作である。

とくに説明する必要もあるまい、誰がみてもこの人物たちの距離感、カットの余裕、それらをつなぐ呼吸、ちょっとした遊びが映画の破綻とならずに豊かさへと貢献している幸福、古典的な題材と一致したかのような小さい町の雰囲気、と一致したかのような本作のつつましさ。むしろ大作ではなくつつましいが故に映画としての豊かさを実感できるであろう。
われわれと『ヴァージニア』との出会いは、まさしくヴァル・キルマー(このオッサン度を見よ)とエル・ファニングの森の中での出会いと等しいものとなる。

2012/03/12

映画シリーズ2012 - Cinema series 2012 -

3年前から観た映画をメモっている。毎年平均10本くらい。
で、その年のだいたい5位くらいまでの映画は、今ふりかえってもまだまだ興奮がよみがえってくる。賞味期限切れてない、オススメです。
逆にそれ以下はあんまり印象がなくなってる感じ(音楽系はわざと下位にしてるので例外)
何年に観たものであろうとそんな感じ。


1. アウトレイジ ビヨンド 北野武

2. ヴァージニア フランシス・フォード・コッポラ

blognotes2: 映画の豊穣を味わう

3. 歌行燈 成瀬巳喜男 (@池袋 新文芸座)
  

4. J・エドガー クリント・イーストウッド

blognotes2: 喪

5. ダーク・シャドウ ティム・バートン

blognotes2: 風格

6. テトロ フランシス・フォード・コッポラ (DVD)

7. 戦火の馬 スティーブン・スピルバーグ (DVD)

8. アベンジャーズ ジョス・ウェドン

9. インセプション クリストファー・ノーラン (DVD)

10. 刑事ベラミー クロード・シャブロル (DVD)

11. ダークナイト ライジング クリストファー・ノーラン

12. Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち ヴィム・ヴェンダース





映画シリーズルール
  • 映画はそのときの世相、自分の気分、などによって印象がかわるので、、
  • とりあえず観た映画をリストアップしていく
  • とりあえず順位をつける
  • とりあえず年末まで寝かす
  • 年末に、観た映画についてもう一度振り返ってみる

映画シリーズ2011 - Cinema series 2011 -


1. ゴーストライター ロマン・ポランスキー

2. ザ・ウォード 監禁病棟 ジョン・カーペンター

blognotes2: ジョン・カーペンターという男

3. ヒアアフター クリント・イーストウッド

blognotes2: すべてのひとに『ヒアアフター(来世)』を贈ろう。

4. アンストッパブル トニー・スコット

blognotes2: トニスコ叔父貴のすすめ

5. 東京公園 青山真治

6. サウダーヂ 富田克也
   

7. 愛の勝利を マルコ・ベロッキオ
  

8. ファンタスティック Mr.FOX ウェス・アンダーソン
  

9. エッセンシャル・キリング イエジー・スコリモフスキ

10. ブンミおじさんの森 アビチャッポン・ウィーラセタクン
  

11. スーパーエイト J.J.エイブラムス

12. ソウル・パワー ジェフリー・レヴィ=ヒント (DVD)

  blognotes2: ポリリズム・ソウル・パワー

13. グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 ミシェル・オゼ、ピーター・レイモント




映画シリーズルール
  • 映画はそのときの世相、自分の気分、などによって印象がかわるので、、
  • とりあえず観た映画をリストアップしていく
  • とりあえず順位をつける
  • とりあえず年末まで寝かす
  • 年末に、観た映画についてもう一度振り返ってみる