2009/04/20
アンジェリーナ・ジョリー
オバQみたいなアンジーが、子供に丁寧な言葉使いをしつけるような、良き母親役を演じるのだが、あるとき、卑劣な医師に対して、あの鋭い視線と低い声でFuckYou!とかそういう言葉を浴びせかける。
そのとき、劇場にいる誰もがある事実に納得し、興奮せざるを得ない。
すなわち、それこそがやはりアンジーなのだと。
対象を徹底的に叩きのめすアンジー。
しかし、叩きのめされもする間に、「私の息子(my son)」と「私の部屋(my room)」は等価であることや、苦しみは私だけに降りかかっているのではないことを悟っていく。
そして最後に、「希望」という言葉とあの自信に満ち溢れた笑顔とともに、静かな興奮で画面を震えさせ去って行く。
わが国では数年前に「日本にはすべてあるが希望だけがない」とかいう言葉があったんだけどねえ。
ちなみにこの「チェンジリング」はもうすぐに公開予定の「グラン・トリノ」があまりにもすごいというので見に行ったいわば前哨戦。
たしかに「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベイビー」のような救いのなさとはちがう。
それは大変喜ばしいことで、イーストウッドほどの巧さが救いのなさを表現すると、もうからだの芯から疲れきってしまうからねえ。
今回ももちろん巧さは健在で、犯人と心が通じあうようなところ(恋愛ではないよ)は思わずそう来るかと。
そんなこんなで次は本命へ。
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