2005/03/30

世界最強リーグ・チャンピオンズリーグをより楽しむためのメモ

8強が出揃った。が、民放はほとんどレアル戦しか放送してこなかったため、ほかのチームがどれほどの力でどんなサッカーをしているのかまるでわからない。最悪のレアルを見せるより、最高の試合をピックアップして見せてほしいものだと思う。ダイジェストのみで判断してもなかなかわからないものだ。
と言いつつダイジェストその他もろもろの印象だけで書く。


<レアル・マドリッド>
ルシェンブルゴになってから、ジダンが中心、という意思統一でかつての(デル・ボスケ時代の)ような魅力がもどってきたように思えたけれど、対ユーベ第2戦で、その戦術自体が監督自身の哲学から導き出されたものではなく、結局デル・ボスケの簡単なやきまわしでしかないように感じた。デル・ボスケからヒントを得るまではよろしい。しかし試合という刻々と変化する生き物にたいして、どう判断していくか?が、そっくり抜け落ちているのではないか。これは人のマネで解決できることではない。
とにかくあれほどの選手層をまとめられるそれほどの監督がほとんどいなく、それがために観客は充分な快楽を享受できないというこの状況は不幸だ。
もたもたしていると選手は引退していくばかりだというのに!


<ユヴェントス>
ユーヴェにしろローマにしろ、カペッロという監督にかかるとどうしてここまで地味なチームになってしまうのか。
もともとユーヴェとは派手なチームではない。ただ、悟りをひらいた坊さんのように冷静に試合をはこび、ここぞという所はいつのまに連携してボールをネットに突き刺しているのだ。そのムダのなさと内に秘めた闘志が魅力的だったのだが、いまは単に地味で退屈なだけだ。
それでも選手交代は当たるし勝ってしまうのだから困ってしまう。
カペッロのユーヴェが優勝してもうれしくともなんともないぞ?
(ユーヴェに来る直前のローマはおもしろくなってたし、そのためにユーヴェ側もカペッロを迎えたのかなと思ったのだが…。ユーヴェフロントは人選に対して一貫した観点があるけれど、今回は時期早尚だったか)


<バルセロナ>
たしかにあそこまで自由にやられるとおもしろい。しかしあまりに放任主義でムダが多すぎる、というのもたしかなのではないか。そして、肉体的に小粒な選手しかいないというのも問題なのだろう。さらにボランチが攻撃的すぎて守備に穴があく。しかしシャヴィが守備的になってしまっても仕方ないので、監督ライカールトがんばれ、というところか。
昨期のレアルにしろ今回のバルサにしろ、モウリーニョを崩すときはひとりが3人4人とディフェンダーをひきつけて、スペースができたところにパスを出していくという共通点がある。逆にいえばそうやるしかモウリーニョのシステムには穴がないということだろう。
さらにコワイことに、体格的な点でもチェルシーは強固なのだ。バルサとチェルシーは正反対である。


<チェルシー>
まだベスト8が出揃ったというだけで、チェルシーが優勝したわけでもないし、もしや異常に魅力的なチームがまだ観ていない中に存在しているのかもしれない。しかし、いまフットボールはモウリーニョを中心に回っている、とつぶやきたくなるほど何か異様な勢いがチェルシーにみなぎっている。
モウリー二ョの戦術はだれが見たってあからさまにシステマチックであろう。中央に入ってきたらすばやくチェックし、3人で囲む。ボールがサイドへ出たら囲むのは2人で充分だ(サイドラインがプレスの役目をはたしてくれるのだから)。
問題は、そこからボールを奪ってからの、選手のノリにのった勢いなのである。ようするに、システマチックだからといって選手を抑圧するのではなく、モウリーニョのシステムとは選手を煽るのである。ぽろぽろボールを奪え、得点してしまえるのはたのしいからだ。あのディフェンスはがむしゃらにボールを追いかけるより体力的に楽で、攻撃へ移る際のむだなロスもほとんどない、はず。

チェルシーを語るとき、監督名やシステムが表に出てくるばかりで、選手名がはじめに挙げられることはほとんどない。チェルシーにだっていい選手はいるが、まだ監督の存在に負けている。以前のポルトよりランクが上とはいえ、まだ超一流選手のいないチームではある。
ようするにこのチームはシステムが選手を引っぱっているということで、いままで選手よりシステム優勢というといいイメージは浮かばなかったのだが、チェルシーのような怒涛の勢いを産み出すシステムなら、ちょっと見つづけていきたい。

いちばん最悪なのはベンゲルやカペッロのような、システムで「統御」しようとすることなのだ。
そうではなく、システムでなにか産み出せ。
(アーセナルのばあい、システム構想の際にプレミアリーグ仕様で構想されてしまっている。だから構想外の相手と当たったとき、まったく勝てない)

平均より優れた一流選手がそろっていれば、まず攻撃から発想が浮かぶのではないかと思う。逆に相手より劣っていると判断したばあいは守備からの発想になる。攻撃寄りのシステムが観客を興奮させるというのは容易に想像がつく(クライフ監督時代やリバウド、フィーゴ、グァルディオラ時代のバルサ)。しかしモウリーニョが新鮮に見えるのは、守備寄りのシステムがここまで興奮させることはなかったのではないか、ということなのだ。(それでも退屈な面もある。超一流選手たちの優雅なリズムに対する、直線的で、ある意味変化のない攻撃)
システムにかんして超一流のモウリーニョが、ジダンなどのような超一流選手・チームを指揮するようになるとき、システムは攻撃的に変わるのか、それとも変化せず洗練されるだけか、はたまた機能するのかしないのか。それ以前に、そのような出会いはそもそも必要とされているのか。
選手とシステムの関係にたいする興味は尽きない。


<モナコ>
昨期はモウリーニョとデシャンが要注目監督だったのだが、今回は試合を見ることなくモナコは敗退してしまった。ムダのない攻撃への移行という目的へ向けての、両監督の徹底的なディフェンスと攻撃的なディフェンスという微妙な差異がおもしろかったのだ。
やはり昨期とくらべて今期は戦力が落ちていたということなのだろうか。観ていないのでわからないのだが、サヴィオラファンとしては、敗因を彼の力不足のせいにして納得するようなことはしてほしくない。
それにしても攻撃的なディフェンス、気になる。今期は昨期のシステムとは違うのか。


<リヨン>
ジュニーニョの活躍がうれしい。かつてジュニーニョ・パウリスタがブラジル代表に召集されたとき、ジュニーニョのほうがいいのに、と言ったら白い目で見られたのだ…。
ベテランのヴィルトールなんかもいて、チーム全体のバランスもいいのだと思う。期待。



リヨンと同じく、コクーがいるなどしてバランスがよさそうだ。韓国人選手の突破はいつ見てもすばらしい。


<バイエルン>
ずっとバラックとゼ・ロベルトの活躍を見たいとおもいつつも、つまらない試合ばっかりしているんじゃないかという印象。
しかしダイジェストを見てダイスラーという選手をようやく発見。この3人だけでもおもしろいはずなのだが。



強いのだろうがよくわからないミラン。最近は、なんとなく興奮もないままいつの間にかゴールを奪って勝っているような印象。まだ余裕があるのか。

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