2004/12/31

サッカーを超えたレアル・マドリード
-03/04CL GroupF ポルトvsR.マドリード(1-3)-

CLが世界No.1リーグだということに異論のある方はいないだろう。

たとえポルトがなじみのないチームだとしても、CLに出てくるだけのことはあり、ナメテ観てはいけない。
しかし、ここで取り上げるのはポルトではなく、ご多分に漏れず今話題の、レアル・マドリードである。

だが、レアルのすごさを説明するために前提としておかなければならないことは、ポルトは決してショボかったということではなく、むしろ前半は、ゾーンプレスという現代サッカーのディフェンス術において、ほぼ間違い無く理想的な、と言えるかたちで機能していた。
最終ラインだけでなく、全員が有機的に動くことによってボールを動かすスペース、選手が飛び出してくるスペースなど全くといっていいほど無かった、ということなのだ。
いや、有機的に機能するチームはいくらでもあるのだが、特に完璧に、徹底的に機能していた、ということを踏まえておいてもらいたい。

もちろん、レアルだって完璧に抑えられていた。
全く攻撃を組み立てることができていなかった。しかし、徐々に徐々に変化が現れてきたのである。
その原因は、ポルトが疲労してきて自ら崩壊してしまった、そういうことではなく、ポルトはずっと変わっていなかったといっていい。
最終的には崩されるのだが、しかし、ポルト自体は何も変わっていなかったと、ずっと完璧だったといえるのではないだろうか?

変わったのはレアルの方だった。
だが一気に変化が訪れたのではなく、まるで相手の何かを確認しながら、何かがジワ〜と浸透していくように、不気味な冷静さを保ちながらの変化だった。
具体的には、試合開始当初からボランチ的位置のグティがボール配給の基点だったのだが、うまくいってはいなかった。何度もボールを途中でカットされる状態がつづくと、味方のポジショニングのバランスだって崩れてくる。
そして、そこにいたのはジダンだったのだ。
いつのまにかジダンが基点となってきていたのである。

ついに、ポルトが崩れる。いや、正確に言うと崩れてはいないのだろう。これはどういうことか?解説者・風間八宏氏の言葉にすべて集約されている。

「追い詰めているつもりが、逆にひきよせられてしまっていた」

何人も引き寄せることができれば、必ずどこかにスペースが出来てくる。そこを利用されてしまったのだ。
だがポルトの方からしてみれば、完璧に追い詰めてるぞ!という意識しかなかったのではないのだろうか?
外見上レアルは囲まれてモタモタしているようにも見えるのだから。
すごいのはジダンだけではない。スペースに飛び出し、完璧にパスに合わせられるという、このすごさ。
試合中に相手の出方を把握し、それに合わせて個人だけでなく、チームレベルで変化できるということ。
例えばパルマ。中田はわかっているのだが他の選手が気づいていないという場面はよく目にする。

思うに、状況に応じて皆が変わっていけるのはレアルだけじゃないだろうか。ただうまいだけじゃムリだ。それをさらに活かしていける思考=精神力=顔。
彼らのカッコ良さは何なのだろうか?彼らに比べたらハリウッド俳優なんてただのオジサンなんだなと一発でバレてしまうではないか!
はっきり言って、彼らは地球人代表といってもいいのではないだろうか?あんな顔、ただサッカー選手というだけでは獲得できない。

だがしかし、話を急ぎすぎてはいけない。これはまだ予選なのである。
私は、(イメージだが)
家庭的な雰囲気である故に余裕を持って思考できるレアル・マドリード対、ゴールにブッ刺す独身イケメン集団A.C.ミラン。
勝負、チームワークの何たるかをすでにして悟り、冷静に動き隙を逃さない僧侶集団ユヴェントス。
重戦車+機動隊を抱えたバイエルン・ミュンヘン(調子良くないようだ)、こういったチームとの試合を本当に楽しみにしている。

90分間の最高のエンターテインメント。ハリウッドより楽しめます。 


追記
レアルのディフェンスだが、弱いままの方がいいのではないかと思える。得点されてからの彼らの爆発をみると、正直、スリルがある。
1観客としては、手堅く勝利を得るよりスリルがあったほうが楽しめる。監督は、クライフの影響を受けているのだろうか?

恐らく、ディフェンスから固めていくチームづくりはもう古くなりつつあるのではないか。古いというより、何か違うんじゃないか。
これからのサッカー、クーペル監督のインテルなんかは優勝からは遠いような気がする。
オフェンスとディフェンスを同時に考えていくべきで、分けて考えるぶん攻守の移行ロスが大きくなってしまう。
最終ラインから固めるのではなく、中盤を基点として攻撃と防御を同時に行なわなければならない。

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